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後継者が最低限知っておくべき自社株知識①

オーナー企業において、事業承継者は「経営」「株式」この2つを承継する必要があります。

一番大切なことは「経営」をしっかり承継することです。

しかし、会社の礎である株式の承継を疎かにしてはなりません。

専門家ほどの知識は必要ありませんが、最低限押さえておくべき自社株知識をご紹介します。

 

後継者が知っておくべき自社株知識は次の3つと考えます。

1.現状を知る

2.課題を見極める

3.相談相手を知る

 

今回は「1.現状を知る」について、ご紹介させていただきます。

 

何はともあれ、まずは現状の把握からですが、現状を把握できていない後継者は意外と多いのが実態です。

自社に関する次の項目を把握されているか確認が必要です。

 

①株主構成および出資経緯、出資額

 

②家系図

 

③定款

 

④株価

 

①株主構成

株主構成は決算申告書の別表2でも確認することができますが、不完全な場合もあり、株主名簿で確認をすることが望ましいです。

ただし、名簿からは出資経緯と出資額を知ることはできず、別途確認が必要です。

会社を引き継ぐ身として、誰がどのような経緯で株式を保有しているか、知らない訳にはいかない項目です。

また、議決権比率についても確認が必要です。

株主総会の普通決議は議決権の過半数、特月決議は2/3以上の賛成が必要です。

少なくとも一族で議決権の過半数を保有できているかどうか、

また、将来的に後継者として(最低でも)議決権の過半数を引継げる状態にあるか確認が必要です。

 

②家系図

同族の定義は「6親等の血族、3親等姻族」です。

株式が親族に分散しているケースなどでは、特に把握が必要です。

また、家系により、グルーピングして持株比率を把握しておくことも重要です。

大抵の場合、顔を知っている親戚は皆この枠内に収まります。

少なくとも「親族である株主の家族」まで、家系図を書き出してみることをお勧めします。

 

③定款

見落としがちですが、自社を定める法律のような存在であり、最も重要なものです。

定款に定められていないことは実施できないことも多くあり、定款自治が求められます。

特に平成18年会社法制定以降改定がなければ、全面見直しが望ましいです。

重要なポイントとしては「株券不発行」「相続人からの売り渡し請求」「譲渡制限会社」となっているかどうかです。

その他にも、重要な事項が記載されているため、内容の確認が必要です。

 

④株価

株式を移動する計画がなくとも、推移や傾向は押さえておくべきです。

また、未上場企業の株価は、場面や相手により株価の評価方法が異なる点に注意が必要です。

基本的には、利益が出れば株価は上昇するのですが、

場合によっては「売上が下がれば株価は上がる」「赤字になれば株価が上がる」というケースもあり、

数字だけではなく自社の特徴を押さえることも重要です。

 

以上、まず押さえておくべき現状について書いていきました。

まだ詳しく理解できていない方は、是非、現状の認識をお勧めします。

 

次回は現状を把握した後、「課題の見極め」についてご紹介します。